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  2. 調査研究結果(平成26年度)

研究実証の結果の概要

 第二世代バイオディーゼル燃料化技術は、接触分解と水素化から成る新たな燃料製造技術で、燃料化実験は規模(L/6h)を30L・100L・500Lとスケールアップして、燃料品質や収率を最適化する実証実験を実施した結果、分解工程の二段化、キァリアーガス導入や水素化工程に脱酸機能も担わせるなどの合理的な燃料化システムを明確化でき、燃料品質でセタン指数、酸化安定性、蒸留特性、潤滑性など軽油とほぼ同等の特性であること、データ自動採取装置を装備した市バスやごみ収集車での実証運行で車両適合性が確認された。なお、軽油留分の収率や熱収率などについては、廃食油を原料とした分解反応であることから軽油留分の収率約60%、熱収率85%とした目標に対して、どの実験規模でも熱収率85%以上は達成できたが、軽油留分収率約60%については、100Lまでの各段階では達成できたが、500Lでの実証実験時には最適化調整運転期間も短く約50%で、今後、軽油留分収率の最大化に向け、分解工程でのナフサ留分などへの低分子化を抑制するなどの最適条件を検討する必要がある。バイオ燃料利活用普及拡大に向けては、学校や店舗などのコミュニティー拠点を活用した回収方式の有効性やLCA評価での軽油・第一世代BDFとの比較での優位性、更には、5,000L/日規模での、2,900t-CO2/日で削減率92%になるとの試算も提示すると共に、炭素同位体測定と帳簿方式による将来の合理的なバイオ由来認証システムの提示もすることが出来た。
以下に、各実証研究毎の結果の概要を示す。

(1)第二世代バイオディーゼル燃料化技術と車両への円滑利用システムの開発
 ① 長期の燃料製造期間においても、安定した分解油の製造が出来ることが確認できた。 ② 燃料収率と品質については、品質優先での燃料化であり、品質面では、課題のアロマ分は30%以下であったが、収率面では、オフガスを含む熱量収支86%で目標を達成したが、分解油の全留分68%で、軽油留分は48%の結果であり、ナフサ留分やオフガスなど分解物の低分子化の傾向となった。今後の対策として、実証プラントでの運転特性を踏まえて、軽油留分収率の最大化に向け、反応時間の短縮(SV大)や分解温度低減化などによる最適運転条件の検討・調整などを行う。 ③ 動植物油混合原料による燃料化については、原料として動植物油(動物油50%混合廃食油および動物油100%)を用いても、廃食油100%原料の場合と同様の品質の接触分解油および水素化油を製造できることが確認された。 ④ 0.5~0.7Mpaの低圧水素化により、オレフィン濃度0.1%以下、酸化安定性36hr以上、ヨウ素価30mg/100g以下、酸価:0.13mgKOH/g以下の高品質のバイオ軽油が生成すると共に、低温流動性についても水素化による直鎖炭化水素のイソ化やアロマ含有などにより、冬季においても添加剤なしで問題のない、軽油と遜色のない安定した燃料を製造できることが確認された。3ヶ年の実証研究結果より、本格プラントの概略設計・建設に向けては、当初想定していた接触分解工程での脱酸機能は省略し、後段の連続流通式の水素化により二重結合の飽和化や中間体のケトンや有機酸を水素化分解するシンプルなバイオ軽油製造プロセスが燃料品質や経済性の観点からも最適であると結論付けられた。なお、燃料化技術での当初目標であった①触媒の長寿命化700時間以上、②燃料化収率は熱収率で85%以上、③動植物油混合原料による燃料化の確認、④水素化条件として、Ni系触媒で1Mpa以下の低圧で、オレフィン濃度0.1%以下、酸化安定性36hr以上、ヨウ素価30mg/100g以下、酸価:0.13mgKOH/g以下などを達成した。

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(2)第二世代バイオディーゼル燃料の車両適合性に関する実証研究
 ① バイオ軽油の品質については、JIS規格の調査項目に関して、軽油と遜色ない結果であった。又、JIS規格以外のエンジンの信頼性(燃料噴射装置のデポジット等)に重要な酸化安定性についても、目標の36hrを十分満足し、第一世代バイオ燃料(FAME)に対して飛躍的な向上が図れた。一方、バイオ軽油には、パラフィン系炭化水素だけでなく、排ガス(PM)に影響を及ぼす可能性のある芳香族(アロマ成分)が、軽油より高い割合(約30%前後)で含まれていることが明らかになった。 ② 部材試験については、燃料タンクの各種金属及び燃料ホースの各ゴム部材について浸漬試験を行い、部材に与える影響は軽油と同等で、実用性のあることが確認できた。 ③ エンジン試験については、エンジン性能(出力、燃費)・排ガス・後処理性能(DPF)の評価を実施し、軽油と比較して遜色ない結果が得られた。但し、B100については、排ガスの正規測定箇所ではないが、エンジン出口(後処理装置前)の排ガス(PM)が軽油に比べ増加傾向(約0.2g/kwh)にあり、バイオ軽油のアロマ成分増加による影響も確認された。 ④ 実証運行調査では、市バス(B30・軽油)及びゴミ収集車(B100・軽油)の各2台に、それぞれ軽油とバイオ軽油を供試、データ自動採取装置(T-DAS)を取り付け、この運行データによってエンジン性能・後処理性能の解析を行った。更に運行調査終了後には燃料噴射装置を回収し、分解調査を行った。結果は性能面及び信頼性面において、軽油と比較して遜色ないことが確認できた。また、この運行調査期間においては、注目点であるアロマ成分増加に伴う後処理装置(DPF)への影響は見られず、問題ないことが確認できた。

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(3)バイオディーゼル燃料利活用普及拡大システムの実証研究
 ① 原料の回収・燃料製造・車両利用に渡るLCA評価や経済性評価などを行った。製造工程では、熱が必要となるが廃棄物処理施設の余剰熱を有効利用することにより、5,000L/日の規模で約2,900t-CO2/年(削減率約92%)と試算した。さらに、バイオガス併設の廃棄物処理施設の電力・メタン改質水素などの活用などを行う場合には、製造工程での電力・水素の二酸化炭素排出が削減可能である。 ② LCA評価では、環境影響領域として地球温暖化、都市域大気汚染、酸性化、化石燃料消費を対象に実施し、軽油や第一世代BDFと比較した第二世代バイオ燃料(バイオ軽油)の優位性を示した。 ③ 製造コストは製造装置の普及時において、バイオ軽油1L当たり180円前後で、副産物であるナフサ留分、オフガス分を有効利用できれば160円前後となると推定された。 ④ バイオ軽油の税制優遇のバイオ由来認証システムとしてのバイオ度の確認は、炭素同位体測定法により精度よく確認できることも明らかになり、将来の合理的な確認システムとしては、帳簿方式と炭素同位体測定法の併用策を提案した。 ⑤ 地域での原料の回収モデルについては、国内外の情報や京都市でのモデル回収実験の結果より、従来の拠点回収に加えて、店舗や学校などのコミュニティ拠点を活用した回収方式の有効性を確認した。
 実用化の道筋の検討では、今後の普及拡大方策を提案し、以下のポイントを提示した。

  • 第二世代のバイオディーゼル燃料化は、接触分解・水素化などの燃料化システム構成を有する技術であり、第一世代のバイオディーゼル燃料化の様な小規模な事業化でなく、5,000L/日程度の事業規模が望ましいことから、我が国での展開としては、政令指定都市や都道府県レベルでの広域で中規模な事業展開が望ましい。
  • 将来的には、原料拡大の観点から動物油脂、微細藻類などの新規油脂原料に加え、油脂業界などの産業廃棄物系のソーダ油滓(ダーク油)など多様な原料の利活用検討を図ることが期待される(原料拡大に寄与)。
  • 本プロジェクトの燃料化技術は、接触分解反応によるものであり、軽油留分だけでなく、ナフサ留分や炭素数の小さい(C5~C15)留分が併産され、ガソリン基材、ケロシン(バイオジェット燃料)としての利用の可能性があることから、今後、これらの併産油の有効活用に向けた具体化の取組みが重要である(経済性の向上)。
  • 原料調達の観点からは、バイオマス資源が豊富な東南アジアなどへのシステムパッケージ輸出並びに開発輸入などの積極的な取り組みを図って行くことなど、地域特性を踏まえた合理的で効率的な最適システムの開発が課題である。

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